VOVO:学芸大駅前店 心を救うカレー

カレーが好きである。デブは卵とカレーが好きと決まっている。ぼくは卵とカレーが好きだ。つまりはそういうことだ。

「デブは卵が好き」

どうであろうか。この言葉は、国籍、性差、人種を超えて共感されうるものであろうか。

もちろん、ぼくにとってこれは真実の言葉であった。そう、一人の女性があの言葉を発するまでは。

「え?なにそれ?」

あの日からのぼくの脳には、一つの疑念がこびりついている。

「卵が好きじゃないデブがいるかもしれない。」

彼女はぼくに呪いをかけて、静かに姿を消した。

そんなことを考えながらぼくらは、学芸大駅の改札を抜けていた。空腹を感じたぼくらは、その街の風景の一部として溶け込んでいた一軒のカレー屋のドアを開けていた。

2コンビネーションカレー 1,000円。野菜のカレー+バターチキンカレー、野菜のカレー+ドライカレー。これがぼくたちの選択だった。

美しく盛り付けられたカレーをみてぼくの口から声が漏れた。

「インドの国旗になってるんだね。」

「へー、そうなんだ。」

カレーは、スパイスを強調しすぎない、日本人の舌に合うカレーであった。

なにより、薬味がうまかった。高菜漬け好きなぼくは一口で魂をつかまれた。

濃い目のラッシーもいい。薄いラッシーは人を寂しくさせる。

「ごちそうさま」

店を出て、インド国旗を画像検索した。

さっきのカレーと全然違う。縦横も、色も違う。あれは国旗ではなかったのだ。考えてみれば、この店はインドカレー店のようにナンは出てこなかった。

カレーはインド、デブは卵。

カレーを食べるのはインドだけではないし、卵を好まないデブもいる。すべてはぼくの思い込みでしかなかった。

ぼくの呪いはこの日とけた。

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