鹿角巷 THE ALLEY:遅めの朝食

土曜日の朝。目が覚め時間を確認した。10時前。

ぼくは、サラリーマンだ。平日に時間で拘束されているサラリーマンが人生の豊かさを求めるということは、週末をいかに有意義に過ごすかという命題に向き合うことにほかならない。

7時半に起きよう。そう思って布団に入ったはずなのに、ぼくのApple Watchはもうすぐ10時だと現実を突き付けてくる。デジタル化された世界は本当に残酷だ。淡々と計測し続けられた時の流れだけを、無感情にぼくに伝えてくる。「スマートウォッチ」。人類の叡智の結晶であるはずの、そのガジェットが持つスマートさ(賢さ)は、ぼくの気持ちをおもんばかることはない。ただただ冷淡に、ぼくを現実で殴りつけてくる。

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朝食はタピオカミルクティー

2時間半。ぼくが失った朝の時間の長さだ。たった2時間半を失ったばっかりに、一日の計画がくずれ貴重な休日を無駄にすることはできない。そんなときにぼくを救ってくれる店。それが、「THE ALLEY(ジ アレイ)」だ。

朝食を食べられる店の少なさが問題視されて久しい三軒茶屋であるが、THE ALLEYは10時に開店する。ゆっくり寝すぎるという春にありがちなトラブルに巻き込まれた際には、遅めの朝食をとれる店として存在感を増す。

「疲れているんだな。」

日々社畜として働く自分を慰めながら店の前に立つ。

疲れた身体と心には多めの糖分が必要だ。そんなふうに自分に言い聞かせていた。「糖分過多では?」という後ろめたさを拭いさるために。

いつも注文を待つ客で行列ができているTHE ALLEYであるが、開店直後はさすがにすぐに注文ができる。ぼくは2時間半の時間を失ってはいたが、それでもここ三軒茶屋では朝が早い部類にはいるようだ。

「よかった。そんなに遅くないんだ。」

油断するとぼくの心はすぐに安心を求めようとする。駄目だ。朝もろくに起きることのできな愚かな人々と自分を一緒にしてはならない。弱い自分をそういさめていた。

右が鉄観音タピオカミルクティーのマイルドホット 500円。左が、黒糖抹茶ラテのホット650円。

ぼくが注文したのは、黒糖抹茶ラテのホットである。疲れた身体には、温かな朝食が必要だ。

緑の抹茶に沈む大粒のタピオカ。仕事に疲れたぼくの胃を優しく満たしてくれる。黒糖で甘みをつけられた抹茶ラテも、柔らかな甘さだ。

店内で、黒糖抹茶ラテをのんびりと楽しんでいると若い女性を中心に少しずつお客さんが増えてくる。ぼくよりも一足おくれた人々を見ていると、それでも10時には家をでて穏やかに朝食を取る自分を少しだけ褒めてやりたくなっていた。

席が開くのを待つ客が増えてきた。

「明日は7時半に起きよう。ボヌールのバジルフランスで朝を迎えよう。」

そんな決意を胸に、ぼくは店をあとにした。

角鹿巷 THE ALLEYの公式ホームページ: http://www.the-alley.jp/