Bistro echo:三茶に居ながら信州に浮気する

三軒茶屋と下北沢を一直線で結ぶ茶沢通りは、毎週日曜日、歩行者天国でプチお祭り状態だ。なんとも言い難いセンスのラテン系音楽が鳴り響き、三茶民の生命線ともいえるパン屋ことボヌールも、この日は屋台出店だ。

お祭り気分は、「通行禁止」の看板が立てられている一部区間でのみ発生する。同じ茶沢通りでも、看板の外側はどこか静まり返っている。この先には、何もないのだろうか。

否、お祭り気分の幻惑で目が曇る人たちにはたどり着けないビストロがある。「Bistro echo(ビストロエコー)」だ。

店は2Fにあり、ここがレストランであることを判別できるものは看板しかない。看板の文字をじっくり読まずぱっと見の雰囲気だけでいえば、バーや美容院のようにも見える。

しかし、ここは「信州のおいしい食材」を売りにしているビストロである。信州というキラーワードを訴求されてしまっては行くしかない。長野の食べ物は美味しい。「北海道産」並みのブランド力があると思っている。

テーブルの数はあまり多くないが、席数に対して空間が広い。店の看板からは想像ができない快適さである。友人同士でゆっくり過ごす場としてふさわしいように思われる。

ランチは、オードブル+メインのランチコース(1500円)と、パスタセット(1000円)。すべてにスープ、サラダ、自家製パンが付くようだ。今回はランチコースの方を選んだ。

まずはサラダとスープ。マスタード系のドレッシングがかかった葉っぱと、ピクルス。スープはにんじんとしょうがの冷製スープ。かぼちゃスープを飲んでいるかの如く、にんじんの甘味が引き出されており美味しい。

お次はオードブル「鴨の生ハムと鶏レバーのタルティーヌ」。普段食べるレバーよりも軽やかでクリーミー、卵の黄身との相性が抜群である。鴨の生ハムも柔らかく、どこかフルーティーな香りが感じられる。パセリも絶妙なアクセントとして良い役を果たしている。薄いバゲッドはガーリック風。なかなか味わえないオードブルである。

パンはこちら。酸味のないライ麦パン。優しい薄味で、他の食事とも合わせやすい。

メインは「黒鯛のポワレ バルサミコのソース」。黒鯛は柔らかく、バルサミコが効いており少し甘味がある。ラタトゥイユも同時並行で楽しめる。黒鯛の上に乗っている豆が印象的だったが、種類は不明の謎の豆。また、味はパクチーなのに形がパクチーじゃないという謎のリーフも添えられている。そこそこボリューム感もあって満足できた。

料理は手が込んでおり、空間も落ち着いていることから、1500円でこの内容はかなりお得だと感じた。具体的に、どの辺が信州食材だったのかは明記されていなかったが、この満足感自体が信州を食べたことを物語っていた。三茶が本命でありながらも信州に浮気し、信州の味と密会できる。ちょっとした背徳感も味わえる、そんな穴場的ビストロである。三茶の駅からは少々歩くが、長野まで行くことを考えれば容易い距離だ。

※公式ホームページは無し

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