100本のスプーン:減塩の鑑

三軒茶屋は中途半端にオシャレで中途半端にダサい街である。では、中途半端じゃないオシャレとは何か?それは、田園都市線の急行に乗ればお隣駅となる、二子玉川に行けば分かる。

二子玉川は、文句なしにオシャレである。少なくとも駅周辺はそうだ。銀座の一部を輸入してきたようなハイブランドストリートもあれば、代官山にある蔦屋家電もある。表参道と同じZARA HOMEもある。何より、世界最高峰のオーディオメーカーであるBang & Olfsenがある。

ものすごく高級志向というわけではないが、生活のベースライン自体が他の街より底上げされているのが、二子玉川なのである。それを体現しているのが、二子玉川を代表するファミリーレストランこと、100本のスプーンだ。

100本のスプーンは、駅から徒歩2分ぐらいの位置にあり、蔦屋家電やBang & Olfsen方面をさらに奥に進んでいくと見つかる。オープンは10時半からだが、平日の11時に行ってもすでに満席で行列ができている。並んでいるのは、ほとんどが親子連れである。

入るのは絶望的か…と思いきや、カウンター席が空いているではないか!親子連れはカウンター席に座らない。つまり、100本のスプーンにおいて、カウンター席は穴場なのである。カウンター席が空いており、並んでいるのが子連れだけであれば、行列ができていてもすぐに入れる可能性があるので、裏技として覚えておいて欲しい。

行列に並んでいると、店員がカウンターやテーブルの希望を聞きに来るので、カウンターと答える。空いていれば、すぐに案内してくれる。こうして筆者は、5分程度しか待たずに入店することができた。

店内は緑が多く、ガラス張りの向こうから太陽が射してくる。おしゃれと健全さを掛け合わせるとこうなる、といった雰囲気である。二子玉川に住む人々のイメージを体現している店舗設計である。ニコタマダムの聖地なのだろう。

100本のスプーンは、あくまで自称ファミリーレストランである。しかし、メニューがおしゃれすぎであり、どれも美味しそうなので、とてもファミレスには見えない。ちなみに100本のスプーンは、スープストックトーキョーと運営元が同じである。

嬉しいのが、多くのメニューに「ハーフ」という選択肢があることだ。これは子供のためにあるが、小食で胃の小さい人間や、色々なメニューを試してみたい大食いにとってもありがたい。

とはいえ、店員の説明によれば半量だと成人の一食分としては少ないようなので、今回は同伴者と共にフルサイズで注文した。

なお、待機中には色鉛筆による塗り絵が楽しめる。子供限定と決まっているわけではないので、初心に帰って一心不乱に塗りつぶしながら料理を待つのも良いだろう。小学生時代にアメリカのレストランで、よくこうした塗り絵が提供されたことを思い出す。

今回注文したのは、「えびとエビと海老のドリア」と「大沼牛のスパゲティーミートソース」である。フルサイズを頼むと、サラダがついてくる。写真は遠近法でドリアが小さく見えるが、どちらもフルサイズである。

一番の感想は、思ったよりも味が薄いということだ。これは悪い意味ではなく、味がやさしいという意味である。通常、ミートソースを注文するときには、食後にニンニク臭が口に残存することを覚悟している。しかし、このミートソースは、拍子抜けするほどやさしい味である。油っこさがなく、減塩がほどこされている。かわりに、肉の旨味はしっかり出ている。

ドリアも同様である。名前の通り、3種類の海老が入っているドリアだが、どこか薄味だ。しかし、海老の出汁はしっかり出ている。プリっとしたエビもケチることなく入っている。

この店の味付けポリシーは、塩味を減らしつつも旨味はしっかり出す、というものかもしれない。おそらく、小さい子供でも食べられるが一番の目的なのだろうが、正直、成人にとってもこれぐらいが丁度よい。食後にお腹が重たくならず、途中で味に飽きづらく、安心して食べられる。また、オシャレで開放的な雰囲気は、薄味による食体験のそっけなさをカバーする役割もあるかもしれない。UX研究がしっかりなされている店だ。

ファミリーレストランだが、ファミリーじゃない人にもかなりオススメだ。店内の子供の騒がさが平気であれば、だが。

ドリンクメニューも充実している。この時期のモヒートは特においしそうである。

さらに、デザートのラインナップも魅力的である。今回は満腹になってしまったので食べなかったが、デザートも優しい味なのだろうか。ぜひとも食べてみたい。

100本のスプーンは、ファミリーレストランであるが、小食な人や大味が苦手な人にもうってつけのレストランだった。 他のレストランにとっても、この店の減塩マジックは参考になることだろう。

100本のスプーン 公式ホームページ: https://100spoons.com/

スポンサーリンク

シェアする