銀座 蟹みつ:高級感と蟹を手頃に楽しむ

蟹は麻薬のような食べ物だ。どんなにブチ切れていようと、茹で蟹のほぐし身を一口頬張れば、脳内は一挙にエンドルフィンが咲き乱れる。どんなに険悪な関係の相手が目の前にいようと、蟹さえあれば互いが自然と笑顔になれる。蟹こそが、平和を象徴する食べ物なのである。

そんな蟹を楽しむには、三茶の外に行くか、楽天で注文するしかない。三茶には蟹の専門店がないからだ。平和主義者である筆者は、都内の蟹の店はある程度網羅済みである。中でも、「銀座 蟹みつ」は、高級感のある雰囲気で手頃に蟹を楽しめる店として何度か訪れている。

銀座 蟹みつは、銀座の駅前に聳え立つ、数奇屋ビルの4Fにある。

看板にてアピールされている通り、ランチはそんなに高くないので庶民でも足を運びやすい。

看板のお手頃感とは裏腹に、店内は、銀座のイメージに合う高級な店風である。夜はもしかしたら、実際に高級な店なのかもしれない。

ガラス張りの店内と、オレンジ系のライトニングで、解放感と上質感が共存している。店員さんも着物を着用しており、はんなりとした空気が流れている。

死を待つ蟹たち。人類の平和とは、他の生物の犠牲の上に成り立っていることを心に刻んでから、ありがたく頂くべし。

この度の来店はやや特別なイベントだったので、個室に案内された。窓からは、銀座のスクランブル交差点が一望できる。渋谷よりは「人がゴミのようだ」感がない。 階数は高くないものの、都会のど真ん中にいる高揚感を味わうことができる。

今回は「特選たらば御膳」(4600円)の「茹でたらば」が「茹で毛蟹」に変更されたバージョンを頂いた。

こちらは「茹で毛蟹」「サラダ」「小鉢」「茶わん蒸し」である。目玉はもちろん「茹で毛蟹」。繊細でやわらかな毛蟹の身を、蟹スプーンでほぐして食べる。殻には切れ目も入っているので、素手で十分にほぐしきることができる。毛蟹は他の蟹と比べてサイズが小さいながらも、蟹独自のおいしさが高密度で詰め込まれている。歓談するはずが、各々がつい無言になってしまうほど、一口ごとに幸福の道に連れされてゆく。サラダにも蟹のほぐし身が含まれており、茶わん蒸しもチュルりと柔らかく、たらば蟹の身が一片入っており、美味だった。

続いて、「たらば天ぷら」。たらば蟹の爪を天ぷら方式で味わえる。衣のサクサク感と、身の凝縮した爪のホクホク感が、印象を一変させる。 茹で蟹よりも温度が温かいため、冷ための蟹とはまた違った風味が立ちのぼる。

こちらは「蟹グラタン」。高濃度の蟹味噌と、蟹のほぐしみが詰め込まれたグラタンである。チーズと蟹味噌の旨味が相乗しており濃厚。とにかく蟹味の濃度が高いので、少量でも満足できる。蟹みつに来たらぜひともオーダーしたい、蟹みつの名物的一品である。

さらに「たらば太巻き寿司」と「蟹汁」。たらば太巻き寿司の蟹はカニマヨになっている。蟹が強く主張してくるというよりは、太巻き全体に蟹風味を添えるような役割を果たしている。蟹汁は、見た目は素朴な味噌汁だが、蟹の出汁が凝縮されているので侮れない。フィナーレを飾る”飲む蟹”である。

最後は「デザート」。金箔入りの羊羹のような、お上品で涼し気な和菓子であった。

総じて、様々な形式で蟹をちょこちょこと楽しめる、善良な御膳であった。雰囲気も良く、値段も高すぎないので、特別な食事や接待のような場にも適する。特に個室は、銀座が一望できる空間で、落ち着いて歓談するにふさわしい。この空間で蟹を共に食する同士は、きっと心を通い合わせることができるだろう。

銀座 蟹みつ 公式ホームページ: http://kanimitsu.com/index.html

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